「君の瞳に乾杯」――。
「昨日? そんな昔のことは覚えてない。今夜? そんな先のことはわからない」――といったハンフリー・ボガートの台詞があまりにも有名な、アメリカ映画の傑作です。1943年のアカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞を受賞しました。
『カサブランカ』が製作された1942年という年は、日本軍の真珠湾攻撃を受けたアメリカが、第二次世界大戦に突入した翌年。その最中にこんな恋愛映画を製作していたのですから、今更ながら日本は負けて当然だったと思ってしまいますね。
もっとも、まったく戦争と無関係というわけではなく、この作品の随所には、当時のフランスを占領していたナチス・ドイツに対する批判や皮肉が散りばめられています。たとえばラストシーン近くでは、警察署長がまだ残っているミネラルウォーターのボトルを、ゴミ箱にポイと捨ててしまいます。そのラベルに書かれていたVICHY(ヴィシー)とは、当時、ドイツの傀儡政権だと批判されていたフランス政府の首都があった地名なのです。また、名曲『As time goes by』とともに、フランス国歌『ラ・マルセイエズ』が印象的に使われています。
最後に余談になりますが、「ボギー」という愛称で今や伝説化しているハンフリー・ボガートは、戦前のアメリカで人気を博した日本人俳優、早川雪洲に憧れて役者を目指したといわれています。














